ゲスト近藤雄生さんの言葉、覚え書き〜「第5回ライターお悩み相談室」〜

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。

先日無事に終了した「第5回ライターお悩み相談室」。皆さんから寄せられた質問は、こんな内容でした。

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質問リスト一覧

・自分の書きたいテーマがあり、そのジャンルが市場にないとき、どうやって書きたいものを仕事につなげるのか。

・専門家でないライターが記事を書く場合、参考元や出典先を明記する必要があるか。

・海外の硬派な記事を扱う媒体は多くはない中、媒体はどのように探したのか?

・海外で起こっていることを日本の人に届くように書くのは大変だと思うが、どのようなことに留意しているのか。

・仕事のオンオフの切り替え方は?

・チームパスカルのような、仕事を共有できる仲間とどうやって知り合ったのか?

・チームで仕事をすることのメリット・デメリットとは?

・今後、書いてみたいこと、手がけてみたいことは?
もし「これを書きたい」という強い思いがあるときに、どこか折れなければいけない部分があるのなら(市場のニーズに合わせて書くなど)、どう折り合いをつけるか。

・また旅に出たい、日本を離れたいと思っている?

・「こんな人と仕事したい!」という人物像を教えてほしい。

・別の仕事もしているが、今後はライターの割合を増やしていきたい。どのようにバランスを取ったらいいか?

・どのようにして仕事を増やしていけばいいのか?

・取材費は、どこまで請求したらいいのか?

・取材する際のポイントを教えてほしい。

近藤さんの答え

上記の質問の答えの中から、特に印象的だったこと以下にメモ。

・海外の硬派な記事を扱う媒体は多くはない中、媒体はどのように探したのか?

この質問については、とにかく近藤さんは「これは!」と思う媒体に、自分の書いた原稿を送っていたという。まだライターとして仕事を依頼される前から、自分の記事を載せてもらいたい媒体を分析し、その媒体の持つ個性を自分なりに解釈して、この記事なら載せてみようかなと編集部に思ってもらえるような記事を、いうなれば「勝手に」書いて送っていたのだとか。

送る際は「数打ちゃ当たる」感が出ないように、雑誌ごとに記事の感想をつけて、その媒体に合わせた原稿を送っていたんだそう。編集部から意外と返事はすぐに来るそうで、しばらくして返事が来なかったら、そこはダメだったと見切りをつけて、次ヘ次へと原稿を送っていたとのこと。

すごいバイタリティー!

今、「ライターになりたい」と言っている人の中で、どのくらいの人がこれほどの行動を起こせてるのかと思う。私も書きたい媒体があれば、勝手に原稿を送るというの、やってみたいなと思ったのでした。

さらに、近藤さんは尊敬する作家・沢木耕太郎さんにも原稿を送っていて、送り続けて何年か経ったあるとき、沢木さんから直接電話をもらったのだとか! すごい!会ったこともない、ただただ尊敬しているという作家さんに原稿を送り続けていたら、その方から直接連絡がもらえるという奇跡!!

沢木さんから「原稿を読んでるよ」と電話をもらって、近藤さんは「もしかしたら、自分もライターとしてやっていけるかもしれない」と背中を押してもらえたのだそう。

そして、「今は、何かやりたいことがある人にとって、応援してくれる土壌がある」と近藤さん。近藤さんは大学で授業を持っているけれど、そこでも積極的にやりたいことがあると質問してくる学生は、やっぱり応援したくなるし、そういう夢に向かって行動している人を周りの人は応援したくなるはいうことも言っていました。

「夢に向かって行動している人を周りの人は応援したくなる」というのは、私も全く同じことを思っていて。

この「ライターお悩み相談室」をやっていると、ライターとしてもっと活躍したいと言う人もたくさん参加してくれる。そこで「こんなことが書きたい」「こんなことが得意」と分かった人には、これまでに私から何度か仕事を紹介したこともあるし、相談室の中で、仕事が生まれたこともある。とにかく動いている人には、何らかのチャンスが転がり込んでくるような気がする。

今回も「日本の古い映画について書きたい」という方が参加してくれたので、まずは原稿をくれたら、知り合いの編集長とつないであげることもできるし、ライターを探している人に紹介することも出来ますよ、という話もした。その際には、その場にいた人全員で、どうしたらいいのか全力で考えて意見交換する時間もあって、なんか我ながら素晴らしい会だなと思ったりしたのでした(笑)

とにかく「行動」をしていると、誰かが見つけてくれるのかもしれない。

・海外で起こっていることを日本の人に届くように書くのは大変だと思うが、どのようなことに留意しているのか。

この質問に対しては,「常に謙虚な気持ちで聞くことを心がけていた」という近藤さん。インタビュー内容によっては、人の忘れたい過去について、根掘り葉掘り聞くこともある。質問することが相手を傷つけることになるかもしれない。たかだか1時間、相手の話を聞いたくらいで分かったようなことを書くことはないように、気をつけていたとのこと。

この、謙虚な気持ち、忘れがちだなぁと思って私もノートにメモ。

ガイドブックなどでよくある飲食店の紹介だったら、なかなか少ないかもしれないけれど、例えば、遺族に話を聞くというようなインタビューの場合、質問されること自体がつらい経験になってしまうかもしれない。

以前、私も死んだ妹のことを新聞記者の人に話す機会ことがあったけど、そういえばあれは泣きながらの取材となってしまったことを思い出したりした。30分やそこら話したくらいで「分かります」なんて言って欲しくないし、すべてを分かったかのように書かれるのは確かに嫌だ。

「申し訳ないけど、書かせてもらう」という意識でいる、という近藤さんの言葉がとても心に響いて、なんて誠実な人なんだろうと心打たれたのでした。私もそんな聞き手でいたいなぁと改めて。

・「こんな人と仕事したい!」という人物像を教えてほしい。

近藤さんは、仕事を選ぶときは人で選んでいるとの答え。たとえ単価が良くても、きちんとコミュニケーションの取れない人との仕事は断っている、と。どんな仕事をする上で、人と人との関係性がとても大事だということ。

私なんていまだに、つい目先のお金に欲が出て、変な仕事を請けたりするので、私もこれを基準にしたいな。

・チームパスカルのような、仕事を共有できる仲間とどうやって知り合ったのか?

チームパスカルとは、理系ライター集団のこと。今やチームだけでは抱えきれないくらい仕事の依頼が殺到しているのだとか。聞けば、単価も相当イイ!!!(単価を聞いて、そんな世界があるのかと、ぶっ飛んだ)

どうやって知り合ったのかというのは、元々は近藤さんの本の編集者だった人や、近藤さんが著書を何冊も出している「ミシマ社」つながりだそう。

・チームで仕事をすることのメリット・デメリットとは?

メリットの方が大きく、デメリットはほぼないとのこと。ただ、稼ぐためのクライアントワークばかりやっていると、本当に自分の書きたいこととがおざなりになってしまうので、そのバランスをどうするかというのが難しいとのこと。

チームで仕事をすることのメリットはすごくあると私も思っている。数年前から、ライターとイラストレーターからなる3人ユニット「ことり会」としても活動しているのだけど、まず仕事の広がり方が3人いるから3倍、どころの話ではなく、10倍くらい威力があるんじゃないかという感覚。

ことり会にはライターが2人いるのだけど、ライター同士で仕事の取り合いになるかといえば全然そんなことはない。それぞれキャラクターも得意分野も違うので、依頼の内容によって、どちらかに振り分けることもできる。例えば、歴史や着物、映画・アニメに関する原稿なら山田ねーさん、雑貨やレトロ建築、パンやコーヒー、子育てに関することなら、私が担当するといったように。

ボリュームが多い場合は、二人で手分けして請けることもできるので、

こんな感じで「ことり会ライター部」として今も一緒に本づくりをしていたりもする。

近藤さんはチームパスカル以外にも、敏腕編集者やデザイナーさんと組んで一緒に仕事をすることがあるそうで、それも面白いなと思っている。数人の仲間と一緒に仕事をしていると、誰かが仕事をとってきてくれることも多く、ひとりで活動しているときよりも営業力がすごい。

これからは、信頼できるデザイナーさんやカメラマンさんと一緒に仕事をするというのもありだよなぁって思っている。

その辺りについては、吉村智樹さんの「関西ライターズリビングルーム」でもお話しました。詳しくはこちらを参考に。

というわけで、「ライターお悩み相談室」では、こんな感じで参加者の皆さんの質問にざっくばらんにお答えしています。

次回「第6回ライターお悩み相談室」の開催日は、8月末。
ゲストは、インタビュー執筆をメインに活動されている、ライターの杉本恭子さんです!

8月30日(木)14時〜16時
場所:下鴨デリ
ゲスト:ライターの杉本恭子さん
参加費:1500円+1ドリンクオーダー
定員:5名

杉本さんのサイトはこちら。

杉本さんは、ご自分の興味のあるテーマ、仏教やお坊さんなどを書いてお仕事をされていて、私もどうやったら自分の書きたいことを書いて稼いでいけるのかなぁ?など、すでにいろんなことを聞かせてもらいたいなと思っています。

参加ご希望の方は、下記から申し込みをお願いします!

\過去に開催した様子はこちらから!/

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フリーライター歴12年のわたくし江角が、毎回違ったゲストを招いて、ライター業に関するさまざまな疑問、お悩みの相談にのっています。

お知らせ

月刊マガジン「京都くらしの編集室」(有料)を書いています。京都で活動するフリーライターのここだけの話。短いエッセイや日々の気づきなどを綴っています!

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