私の屋号は「京都くらしの編集室」といいます。
なぜこの屋号にしたかというと、 ライターにとって必要な編集する、書くという技術はふだんの暮らしにも活かせると思っているからです。
人生は一つの大きな物語で、それをどう描くか、どう生きていくか、自分で決めることができます。
自分の人生を自分で編集すれば、どんな物語だって描けます。
たとえば、私は苦労して転職した4つめの会社を、たったの4日で辞めることになってしまいました。
社長と副社長が部屋の中で煙草を吸うので、煙をすってしまい、頭痛がひどく耐えきれずに辞めることにしたのです。
この事実だけを切り取ると私はものすごく運が悪い人ということになりますが、でも、今の私は「あのとき転職に失敗して良かったな!」と思っています。なぜならそのお陰で、フリーライターとして活動を始める決心ができたからです。
もし、あのまま順調に会社勤めをしていたら、フリーライターとして活動をしていなかったかもしれない。転職に失敗したことさえも、私が編集すると、人生の転機になったすごくいい出来事になりうるのです。
どこをどういう風に切り取るかで、人生が変わってくるのてす。
たとえば雑誌で、あるカフェを紹介するとします。
そのお店は駅からも遠く、アクセスしにくい場所にあって、お店は狭いし、営業も土日しかしてない。この情報だけを切り取ると、このお店はあんまり魅力的ではないかもしれません。
でも…
狭いを「小さく可愛らしいお店」 もしくは「こぢんまりとして落ち着くお店」 と表現してみる。アクセスしにくいことも、「わざわざ行きたい」と言ってみる。 分かりにくい場所でも 「隠れ家のよう」というと、ちょっと行きたくなりませんか? 土日しか開いていないというのも、特別感があります。
そんな風に、編集・ライターの目線でちがう切り口を考えてみる。
ライターとして文章を書いていくうちに、いかに良いところに目を向けるか、いかに切り口を変えて捉えるか、そうした編集技術が鍛えられました。
それが、今の人生にもすごく活きています。
暮らしも編集できる。
むしろ暮らしを編集することで、自分らしい幸せをみつけることができる。 そんな思いから「京都くらしの編集室」 という屋号をつけました。
私自身、編集・ライター技術を身につけることで、ライターになる前より確実に幸せになれたと言いきれるので、世の中の人がみんな、そんな技術を身につけることができたら、世界中、幸せな人でいっぱいになるんじゃないかなと壮大なことを考えています。
書籍やパンフレットなど、インタビューをしてテキストを書くことのお手伝いをしたり、私が書く文章を読んだ人がホッとできたり、または書きたいと思う人たちの応援ができたらいいなと思って、活動しています。
京都くらしの編集室 編集長 江角悠子