いろんな気付きを得られる絵本「アベコベさん」

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絵本 アベコベさん

息子が、学童で読んだ絵本が面白かったといって、珍しく自分から本の話なんかしてくれて、
しかも身振り手振り交えて、いかに面白かったかを説明してくれるので
(でも、その説明がものすごく分かりにくい)
私も読みたくなって、先日借りて来てもらいました。

絵本のタイトルは、アベコベさん
内容はざっくりいうと、アベコベさん一家の日常を紹介するというものなのですが、
なんせアベコベさんなので、何もかもアベコベなのです。



絵本アベコベさんのお話

一家はまず真夜中に起きて、洋服からパジャマに着替えて、夕ご飯を食べます。
そのご飯を食べるのも、フォークを使うなんてお行儀が悪い!
子どもたちは親から、手の指と足の指を使って食べるよう注意され、
ジャムを渡すのは、手でべチャッと掴んで投げて渡すという感じ。

外に出かけるのはパジャマに着替えてから。
コートを着て外に出るなんておかしいという世界に生きています。

この普通なら怒られそうなシーンが堂々と描かれているのが、
子どもにとっては面白いのかなぁと分析しつつ。

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私が大好きなシーンは背表紙にも描かれている、一家がテレビを見ているところ。

こんな風にアベコベ一家は暮らしているわけですが、
一家の子どもたちにとってはその世界が当たり前。
でもあるとき、パジャマに着替えないで外出する、外の世界の人に出会い、
子どもがお母さんに尋ねます。「どうして外に出かけるのにパジャマに着替えないの?」
おかあさんはそっと「いろんな人がいるのよ」とだけ答えます。

ここを読んで、あぁ~!となりました。

全く逆のアベコベなことばかりしているのは、あまりにも分かりやすく描かれているけど、
こういうこと、この世の中にたくさんあるなぁって。

子どもの頃って、自分の家の中が全てでそれが当たり前と思って過ごしているけど、
大人になって他の家庭を知ると、え?って初めて知ることもたくさんあって。

その全ての答えが「いろんなひとがいるのよ」に凝縮されているようで、
なんてよく出来た絵本なんだ!と感動しました。すごい。

ちなみに私が大人になって驚いたことは、
うちの家ではテレビのリモコンのことを「チャンネル」と言っていて、
「チャンネル取って」という感じで使っていたのですが、
夫に「リモコンだから」って突っ込まれるまで全く気が付かず。

あと、大学生のとき、友達が面白い冗談を言ったので
面白いね~という感じで、バンバン肩を叩いていたら、痛かったらしく
「痛いよー。親にも叩かれたことないのに」というセリフを言われて衝撃。

私が小さい頃は、父親に叱られるときには必ず頬をビンタされ、
何度叩かれたのかなんてもう数知れず。散々叩かれて叩かれて育っていたので、
この世に子どもを叩かない親がいるなんて、と知ったときの衝撃たるや。
あれは一番の驚きだったなぁ。
虐待ニュースを見るとしんどくなるのは、その経験があるからだなぁきっと。

そして、まだまだ表に出ていない、アベコベなところあるのかもしれない…。

出会った人の行動が理解を超えていたとしても
「ま、世の中にはいろいろな人がいるから」と思っておけば、
いろいろ、まあるく収まりそうな気がします。

 

アベコベさん
フランセスカ サイモン
文化出版局
1997-08

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。