「顔のある食事=手料理と心の空腹感」 竹下和男先生の講演会メモ

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先日、「お弁当の日」を始めた竹下和男先生の講演会に行ってきました。

「お弁当の日」というのは、小学生や中学生が、その日だけは親の手を借りず、
食材の買い出しから、おかず作り、お弁当に詰めるまで、すべてを自分の力だけでするという日。

大人からすれば、たったこれだけのことが、子どもたちにどんな影響を与えたのか、
お弁当を作るということに、どんな意味があるのか…。

講演に行ったことのある母親が、感動した!絶対に行った方がいい!!と力説するので、
それまで先生のことは全く知りませんでしたが、興味が湧いて行ってみました。

そんな軽い気持ちで行ったのですが、
2時間近い講演会の間中、私は涙が止まりませんでした。

先生の一言一言が胸に突き刺さり、午後から企業へ取材へ行くというのに
化粧がぜーんぶきれいに落ちるくらい号泣しながら、話を聞いていました。
一言も聞きもらしたくなくて、聞くのに夢中でメモもあんまり取れていませんが。
ここに、忘れたくないことをメモ。

———–

講演会の最初は、「はなちゃんのみそ汁」のスライドショーから。
「はなちゃんのみそ汁」は本にもなっていて、
こちらのサイトで概要をまとめた動画が見られます。

はなちゃんのお母さんは、あるとき癌が再発して余命5か月だと知ります。
「私がいなくなった後、娘は生きるうえで必須科目の家事はできるだろうか」
お母さんは、5歳になったはなちゃんに料理を教えることにしました。
ご飯の炊き方から、出汁の取り方、包丁の使い方、そして、味噌汁の作り方、買い物の仕方。
お母さんが亡くなったあとも、はなちゃんは今もお母さんとの約束を守って
毎朝の味噌汁づくりを頑張っているそうです。

スライドショーでは、食事の作り方を習った5歳のはなちゃんが、
仕事で遅くなったお父さんのために夕飯を作ってあげるエピソードもあって、
小さいのに一生懸命で、それだけで、もう、泣けてきました。

親は子どもより早く死ぬ。でも、子どもは親が死んだ後も生きていかなければならない。
子が一人で生きていくために、親が教えてあげられることはなんだろう。
塾とか習い事とか、そんなことに一生懸命で、生きいくために最低限必要な
食べていくことについて、ちゃんと教えてあげられているのだろうか。

講演会の中で、一番ハッとした竹下先生の言葉は、
「子どもは、自分の食べるものを、親が喜んで作ってくれないことが恐怖」というもの。

自分の時間を子どものために使えない、ということは、
=子どもなんか生まれてこなかった方がよかったと
暗に言っているようなものだと。

私は、基本ご飯を作ることが面倒。
平日なんか特に、息子が保育園から帰ってくる直前まで仕事をしていたいと思っているし、
ご飯の準備のために、仕事時間が削られるのがとても嫌だ。

でも、これって、息子や旦那のために時間がさけない=いない方がいい
と伝えているようなものなのかもしれない。

子が親から愛されていると実感するのは、
お金を与えたり、好きなものを好きなだけ買うことじゃない、
自分の限りある命の時間を、どれだけ与えてあげられるか、
それを、子どもは手をかけた料理を食べることで、感じているのだという言葉に
深くうなずいて、ご飯作り、頑張ろうと思ったのでした。

また、3歳~9歳くらいまでは、子どもは台所に立ちたくなる時期なのだそう。
それは、親の邪魔をしたいのではない、「親の役に立ちたい」
「親を助けたい」
という思いから「手伝いたい」と言っているのだとか。

うちの3歳の息子も、よく手伝う、手伝う、と言います。
でも正直いって、子どもが手伝うと遅いし、
テーブルの上が余計に散らかって私の仕事が増えるため、
そばにいるだけで邪魔(ひどい親だなぁ…)、
自分一人でやった方がよっぽど早くきれいにできるのです。

なので、いつもうまいこと誤魔化して、息子を台所から追っ払っていたのですが、
あれって、興味本位で、ただ遊びたいから言っていたのではなく、
私の役に立ちたくて、助けたくて言っていたのだなぁと思うと、また泣けてきました。
子どもの優しさにぜーんぜん気が付けていない自分が情けなくて。

そして、肝心の「お弁当の日」を体験した子ども達にどんな変化があったのか。
まず、お弁当を作ることの大変さを知る。
今までお弁当を作ってくれた親へ、感謝できるようになる。
食べ物に興味がわく→食材を育ててくれた人に感謝をするようになる
→ご飯を残さないようになる。

などなど。

今度出る竹下先生の新刊に詳しいお話が載っているので、興味を持った方はぜひ。

 

私は仕事をしていて、息子と一緒にいる時間が短い分、
ご飯を作る手間を省かず、愛情を伝えていきたいなあと思ったのでした。
「お手伝いしたい」という息子も受け入れて、なるべくやってもらうようにして。
これがまた、忙しい平日の夜なんかは、もー!ってなるんですが。

竹下先生がいっていたのは、親は、「子育てを楽しんでいるよー」という姿を
子どもに見せていかなければいけないということ。
子育て大変大変、ってばかりだったら、
子どもは「じゃあ、なんで僕を生んだの?」って思っちゃうよね。

 

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。