【気まぐれコラム】ケタちがいにお金持ちの人の話

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text by:江角悠子(@ezu1030

「お金持ちの人」と聞いて、どのくらいのレベルの人を想像するかといったら、庶民の私は、別荘を持っている人とか自家用ジェット機を持ってる人とかそんなイメージだったのだけど、大人になっていろいろな人と接するようになると、もっともっとそんなレベルどころの話ではない、はるか上のお金持ちが本当にいるんだなぁと知って、驚くことが多々ある。

あるとき聞かせてもらった話では、私の想像できうる限界を超えたお金持ちの話がポロポロ出てきて、私はなんて小さな狭い世界で生きていたのだろうと新しい扉が開けた気分。

いや、想像を超えるお金持ちの存在を知っただけで、お近づきになれるわけでもなんでもないけど、情報としては石油王とかの存在も知っているけど、こんな身近に、この関西に、そんなお金持ちが実在しているのかと思うと、また世界が広がった気がするのである。

いつか、お金持ちばかりが住むエリアを車で案内してもらったことがあって(ハリウッドスターの家を見学的な)、そこでは道路に面した部分から玄関が見えることは決してないし(奥の奥の方に玄関があって、そこへと続くであろう道が巨大な門の向こうにチラリと見える)。

たまに「あ、ここは学校かな?校庭と校舎かな」と思ったら、校庭のような「庭」と校舎のような大きさの「家」だし、そんなところが誰でも行ける場所に普通にあったのだった。

そのエリアに住むお坊ちゃまたちが行く学校は、タバコで入学金が決まると言う。意味が分からなくて、え?と聞き返したら、タバコ1本の高さが入学金(札束の量)を表すのだという。

そしてタバコ1本立てた高さと同じ量の札束が、果たしていくらなのか想像もつかないけど、それが人によってはタバコ2本分とかに値上がりするとかなんとか。それはもう一体いくらなんだか。冗談なのか本気なのかもう分からない。

さらには、本当のお金持ちは自家用ジェットを乗り回しているレベルではなく、大型ジャンボジェット機を所有していて、それを航空会社に貸し出し、レンタル料だけでものすごい額になるらしいよ、って話を聞いた日には、あの自家用ジェット機がなんとかすんで見えたことか。

そこまで突き抜けてくれるともうお金持ち羨ましいとか一切なく、清々しい。むしろジャンボジェット機を貸し出してくださってありがとうございますという気持ち。

また別のお金持ちの人の話を聞いていたら、ある程度稼いでいた頃は多少のお金を手にしているのがうれしくて、ちょっと自慢するようなところがあったけど、それ以上にさらにお金を手にするようになると、自慢するどころか逆に隠すようになったと言っていた。

お金があると、何かといろんなところから頼まれごとがあるそうで、銀行から「お金借りませんか」攻撃は当たり前、個人的にお金貸してくれと言われることや、みんなで飲みに行くと「稼いでるんだから、おごって?」みたいな空気になることもあるとかで、話を聞いていると、とにかく面倒くさそう。無下に断ると、ケチなやつだと思われそうだしね。お金持ちの人も大変なんだなぁ。

以前、インスタグラムで「指ケガしちゃった。テへ」みたいなコメント共に、ロレックスの時計がドアップになってる手の写真が投稿してあったり(ケガした指どこ?)、「バッグを色違いで3つ衝動買いしちゃいました」というコメントと共に、バッグとバッグの値札がギリギリ見えるように投稿してあったり(総額10万越え)するのを見かけては、羨ましくて毎回イラってなってたんだけど、超絶お金持ちの人の話を聞くと(自分のことはさておき)「この人、まだまだなんだな」って思って、今では腹も立たなくなったのでした。

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。