週に一度、非常勤講師として、同志社女子大学で「編集技術」の授業を担当しています。
1年かけて学生たちと冊子作りに取り組むこの授業。前期も残り2回となりました。
夏休みに学生たちは自分たちだけで取材に行かなければならないので、私は今のうちに、取材をするのに必要な知識や準備のための情報など、全てを伝授しなければなりません。毎回90分の授業では足りず、どうしても時間をオーバーしてしまうし、課題も多い(ガンバれ)。
昨日の講義では、誰がどこのお店(スポット)に取材に行くかを決めてもらいました。全員で20人いるのを、2〜3人のチームに分かれてもらい、具体的にどこを担当するのかを決めてもらうのです。
私の授業は2〜4回生が取ってくれているのですが、主導となるのは3回生。チームに分けてもらっていると、3回生の編集長が、「2回生だけのチームができてしまい、負担が大きいのではないか」と悩んでいます。3回生も交えたチームにした方がいいのではないか。申し訳ない。可哀想だから、チーム編成を考え直そうかと言っています。
先輩として後輩を思いやる、なんと優しい編集長。
という見方もできると思いますが、逆の視点から考えてみると、もしかすると「2回生だけのチームには、取材を任せられない」と思っている、とも言えます。
2回生だけのチームに取材を任せるには、荷が重い。つまりそれをするだけの実力がないと思っているというか。嫌な言い方をすると、そうとも取れてしまう。
私は2回生だけのチームでも全然問題ないと思ったので、良いんじゃない?と伝え、実際、2回生チームに不安がないか聞いてみたところ、「やってみます」「大丈夫です」と言うので、任せることにしました。
「心配をする」って、いっけん優しさのようでもあるけれど、場合によってはそうではないときに発動することもあるような気がしている。
なぜ心配になるかというと、あの人大丈夫かな?と思っているから心配するのであって、「まぁ、あの人なら大丈夫でしょ」と思っていたら、心配することはない。
これは、私が息子のことを心配し過ぎていて気が付いたことだった。
息子が中学生の頃、定期テストの勉強を全くしないことで、私は常に心配していた。週明けからテストが始まるという土日。せめて一夜漬けでもしてくれたらいいのに「教科書?学校に置いてきた」と言ったりする。
は?教科書を学校に置いてきた、だと???週末は何をするつもりだったんや?と大バトルになった。
このままでは息子はダメ人間になってしまう。不幸な大人になる。と私は悩み、スクールカウンセラーにまで相談に行った。
すると、聞かれたのだ。「勉強をしないことで困っているのは誰ですか?」と。困っているのは、私である。「本人は困っているのですか?」いえ、本人は全く持って困っていないです。「勉強をしないことで、ゆくゆく困るのは誰ですか?」息子です。「そうですよね。息子さんが勉強をしなくても、お母さんが困ることはないですよね」。たしかに…私は困らない。
困っている本人が相談に来るのならまだしも、本人が困っていないのなら、どうしようもない…といったことをあっさり言われ、私はものの5分くらいで帰ってきた。
「たしかに。余計なお世話と言うものだ」と思ったのだ。息子が自分で「さすがに、これはやばい」と思ったら、勝手に勉強するだろう。
水を飲みたくもない馬を湖に連れていって、無理やり飲まそうとしたところで、飲まないのだ。
元は、イギリスのことわざらしい(AIが教えてくれた)。
You can lead a horse to water, but you can’t make him drink.
「馬を水際まで連れて行くことは出来るが、水を飲ませることは出来ない」
でも私がもし「息子は大丈夫」と思っていたら、こんな風に心配することもなかっただろう。
たとえば、自分が新入社員で、ちょっと難しそうな案件があり、それを上司から「江角、やってみろ」と任されたとする。それだけで、「私には出来ると信頼してくれたのかな」と嬉しく思ったりする。
ここで上司が私をやたら心配して「大丈夫か?」と、あれこれ口出しして、先回りしていろいろやってくれたりすると、助かったり、嬉しい反面、「もしかして私のこと、信頼されていないのかな」「私じゃダメなのかな」と不安になるかもしれない。
「任せる」とは、「信頼している」ことにもなるし、「心配する」とは、「任せられない」と思っていることにも繋がっているのかもしれない。
結局、2回生チームには、困ったことがあったら言ってねと伝えて任せることにした。本人たちが困ったときに、助けてあげられたらそれでいいんだと思う。
けれど、子育てとか、子どものやりたいように任せてしまうと、絶対に尻拭いをしないといけないのが目に見えていて、それが面倒だから、つい先回りして、手出ししてしまうんだよなぁ。
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