「アルコール関連問題啓発フォーラム in 兵庫」に参加して気付たのは「私はアルコールを憎んでいる」ということ。

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神戸で開催された「アルコール関連問題啓発フォーラム in 兵庫」へ行ってきました。きっかけは、「酔うと化け物になる父がつらい」を書いた菊池真理子さんの講演があると知ったから。

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私がこの本を読んだのは2年前。タイトルと表紙につられて何気なく読んでみたら、内容がものすごい衝撃的で、私はその日一日まったく動けなくなるほどだった。

内容をざっくり紹介すると、アルコール依存症の父とその家族の話なのだけど、読んでまず思ったのは、お酒に振り回される人はなんと哀れなんだろうということだった。そしてお酒中心の日常は、本当に地獄だということ。でも中にいる人たちは、お酒がある日々が当たり前で、それが日常なので、地獄にいることに気が付いていない。だから変えようとも思わないし、誰かに助けを求めようとも思わない。それこそが本当の地獄だなと思った。そして私が何よりショックを受けたのが、私もその当事者なのだと気付かされたことだった。

私も地獄の中の住人だったのかという衝撃。ガーンと頭を打ちのめされたようだった。

菊池真理子さんの講演

菊池さんは、お父さんのことをアルコール依存症だとはまったく思っていなかったという。

子供の頃、夜中に酔った父に頭をなで回され起こされる。気持ちよく寝ているところを起こされるのは大人でも不快なもの。でもお父さんが「可愛いなぁ」と言ってなで回すので、嫌だとも言えず、我慢しなきゃと思っていたという話に始まり、子供の頃から「酔った人はケアするものだ」と思っていたということも。

アルコール依存症の人に対して、その人がお酒を飲んでしてしまった失敗の尻拭いをしてはいけないということは聞いたことがある。なぜなら、家族が尻拭いをしてしまうと、お酒での失敗に本人が気が付けないから。何より、お酒を飲んでの失態はその人の責任であり、家族がフォローするものでもないということだと私は捉える。

でも菊池さんの場合は子供の頃からそれが当たり前だったので、「酔った人はケアするものだと刷り込まれていた」と言う。「お酒を飲まないで」と言うと「子供が大人のことに口出しするな」「大人のコミュニケーションなんだから」と諭される。そのうち、「飲まないでって言う私の方がおかしいのかな」と思うようになる。「飲まないで」なんて思っちゃいけない。そうやって感情を押さえ込むことで、自分で自分の感情が分からなくなっていく。

大人になるまで、菊池さんはお父さんのような、飲むと記憶をなくし、グデングデンになるような飲み方をするのが普通だと思っていたそうだ。彼氏に「そんなお父さんで恥ずかしくないの?」と言われたときに初めて自分のお父さんのお酒の飲み方が普通ではないと知る。マンガの中では、菊池さんが子供の頃、週末にお父さんと一緒に遊びに行く約束をしていても、お酒を飲みすぎて約束を破られるということがしょっちゅうあったと書かれていた。

我が子のことよりも、お酒を飲むことを優先する親。そんな親を見て子供は思う。「私よりお酒の方が大事なんだ。私は愛される価値がない存在なんだ」と。

菊池さんの講演を聞きながら、ふと自分の中に湧いてきた感情が「アルコールが憎い」ということだった。菊池さんのお父さんは飲酒運転をすることもあったと話していた。それを聞いて、私は猛烈に腹が立った。思えば、私の妹は飲酒運転をした人に命を奪われたのだった。あの人がお酒さえ飲まなければ、妹はまだ生きていたかも知れないのに。講演中、アルコールに対する怒りが異常なほどに湧いてきて、自分でも驚くほどだった。

そういえば、妹が死んだあと、お酒を飲む親を見るのも嫌だった。自分の娘が飲酒運転のせいで亡くなったのに、お酒なんてよく飲めるな…と軽蔑していたことを思い出した。飲酒している人を見ると腹が立った。なぜお酒を飲んでそんなに陽気になれるのか。バカじゃないのか。そうやって、心の底でお酒を飲む人をずっと嫌悪していた。嫌悪しながら、そのうちそんなことも忘れてしまって、自分でも飲むようになった。飲みながら私はずっとお酒を飲む自分のことを心の底で嫌悪していたんだと気が付いた。

今年になって、ふと思い立ち私は禁酒をすることにした。

なんで今さら禁酒なのかと自分でも思っていたけど、理由はこれだったのかもしれない。アルコールが憎い。飲酒する人を嫌悪している。私は私を好きでいるために禁酒したのだとようやく理解した。

アルコール依存症とは

菊池さんの講演の後は、識者によるお話もあった。一般に、アルコール依存症の人はお酒が切れたら手が震えたり、禁断症状が出たら危ないとか、そんな風に思われているけれど、そうではないと。「こうなったら、アルコール依存症です」とはっきり線引きできるものではないという。ただ、お酒のせいで人間関係が壊れたら治療の必要があるとのこと。

ある識者は、下記のような人はアルコール依存症だとおっしゃられた。

家族、自分の健康よりも飲酒を優先させる状態。アルコールの量をコントロールできない。健康を害していることが分かっているのにやめられない。

アルコール依存症とはアルコールの制御が効かない、コントロールが効かなくなる病気

アルコール依存症の治療法として、無理やり断酒されられるという世間のイメージもあってなかなか受診されないという課題もあるそうだ。でも、アルコール依存症を治すには、生涯断酒を続ける意外方法はないという話もあった。節酒できれば理想だが、アルコール依存症の人は飲む始めるとアルコールの量をコントロールできない。コントロールできないからアルコール依存症になっているわけで、つまり節酒はできないということた。飲み始めれば、短時間で元の量に戻る。

話をいろいろ聞いて、ふと思った。

私もアルコール依存症なのではないかと。

たとえば、友達と飲み会をする。最近は年のせいか、20代の頃のように飲むと翌日に支障が出るので、ワイン1本だけにしようと思って、飲み会に行く。けれど飲み始めると楽しくなって、ワイン1本飲み干したところで「まいっか」と思う。そのあとはもう無意識に飲み続けている。1本だけにしようと決意したことなど忘れて飲み続ける。そして翌日思う。飲みすぎるとしんどいから、少なめにしようと思ったのに、またできなかった。私はダメなヤツだなぁと。アルコール依存症の人とそうでない人と、みんな地つづきで繋がっているとある人が言っていた。

人は、ある日突然アルコール依存症になるのではない。今歩いている道の先にアルコール依存症があるのだと私は捉えた。

最後に識者の方が、アルコール依存症の人の子供に対してのケアを考えていきたいと言ってくれていたのに救われた。アルコール依存症の人を親に持つと、その子供はアルコールを飲む親を憎みつつ、親を憎んでしまう自分をまた憎んでしまうという2重の苦しみがあるのだという。親を敬えだとか、親の方が立場が上だとか親子愛だとか、そういう風潮がある中で、親を憎んでしまう自分を責めてしまう。それは本当に辛いことだと思う。そして感情を持つと自分が壊れてしまうため、いつしか感情を持たないようになると。SOSを出しにくい子供に対するケア、本当に早急に取り組んでほしい。

酒の飲み方を考えることは、自分がどう生きるのかを考えることなのかもしれない。

今回、フォーラムに参加させてもらって、最後にそう感じたのでした。

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。

\京都ライター塾を主宰/

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