今日は五山の送り火。妹も帰っていくのだなぁ。

この記事を書いた人

江角悠子

京都在住フリーライター。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。

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うちの実家はお寺で、父親は住職をしている。子どもの頃は、毎年お盆とお正月になると、檀家さんを迎える準備で祖父母も両親もバタバタと忙しく、私たち姉弟3人はいつも子どもたちだけで好き勝手に境内で遊んでいたのだった。大人になった今、帰省するのは私と弟だけ。3人姉弟だったけど、妹は16年前、二十歳のときに交通事故で死んでしまい、そして実家にはまだ妹が使っていた部屋がほぼそのまま残っている。妹が使っていたベッドと机、妹が聴いていたCDやカセットテープ。壁のからくり時計もそのまま残っているけれど、針はいつの頃か止まったまま。

ある年のお盆のときのこと。妹の部屋の隣りにある和室で母親と一緒に洗濯物を畳んでいたとき、「昨年のお盆のとき、真理子(妹)の部屋の時計が、鳴ったんだよね」と言う。時計、 何年も止まったままなのに?聞き間違えじゃない?と言っても、確かに聞いた、と。そっか、真理子がお盆で帰ってきてたんだねぇという話をしたその翌年か、数年後か、忘れたのだけど、お盆で帰省して和室にいたとき、私も確かに聞いたのだった、妹の部屋の時計が鳴ったのを。聞いた瞬間、え?ってなって、キターって思って、慌てて和室を飛び出したんだけど、落ち着いてから考えてみると、「お盆で帰ってるよ」って妹が合図してくれたんだなぁって思って、嬉しくなった。

あれ以来、お盆のタイミングで和室にいると、いつ鳴るか、いつ鳴るかと思ってドキドキしているのだけど、あれからまだ聞いていない。今年もとうとう聞かず。そして、もう今晩あっちの世界へ帰っていくのだなぁ。

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京都に暮らして22年、京都で活動するフリーライターのここだけの話。そのほか、短いエッセイや日々の気づきなど綴っています。

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