映画「そして父になる」を鑑賞。これを感情移入しないで見れようか。

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もう1ヶ月以上も前になりますが、映画「そして父になる」を見に行きました。
夏に映画館で予告を見てから、なぜか「これは絶対見に行かねば」と思っていた作品。

お話は、6年間育てていた子どもが、病院で取り違えられていて、
実は他人の子だったというところから始まり、
そこから、子どもをどうするのか、2つの家族のやりとりが丹念に描かれています。

家族とは血の繋がりなのか、それとも一緒に過ごした時間が決めるのか。

ネタバレもあるので、これから見るという人は、すっ飛ばしてもらえたらと思いますが…。

予告編を見たとき、私は血の繋がりを思うと、
元の家族のところに戻すのがまぁ普通なのだろうと感じていたのですが、
映画を見たらいやいや…血の繋がりって一体何なの?と思うようになりました。

出てくる取り違えられた子が、男の子で6歳。うちも息子だし、同じような年齢ってことで、
思いっきり感情移入しながら見ていたんですが、もしうちの子が…と考えたら、もう涙が止まらない(^^;ゞ

元の家族のところに返そうと決めて、それぞれの子どもを相手の家族に預けたり
交流したりするのですが、6歳の子が、それまで育ってきた環境とまるきり違う
人の家に一人で行って過ごすときの心細さといったら。

子どもの演技が自然すぎて、というかあれはもう演技とは思えなくて、
言ってみたら全然知らない人の家に行って過ごさなければならない子の不安な気持ちを思うと
もう泣けてきてしょうがない。

食事ひとつとっても、今までは1人っ子という状態で、テーブルに座ったら、
自分の皿は自分の目の前にあって…という環境が当たり前だったのが、
人の家に行ったら、畳に座り、兄妹で大皿にのった料理を
みんなで取り合うようにして食べるのが普通で。

これまで自分が当たり前としてきたこと、信じてきたことが覆される衝撃って、
大人になればある程度受け入れられるし、理解できるのかもしれないけれど、
それがまだ「自分」というものを形成する途中の子だったら、難しいだろうなぁと。

何かいろいろ考えさせられる映画でした。

重い内容の映画だったけど、映画の最後には少し救いが感じられて、後味は決して悪くない。

旦那さんと一緒に見に行っていたんですが、私たちの結論は
血の繋がりよりも、過ごした時間だよねってことになりました。
血縁ではなく、過ごした時間が家族を形成してくれるのだろうと。
でも本当にそんなことになったらいろいろな葛藤があるのだろうけれど。

映画を見終わった後、「ここのシーンが良かった、印象的だった」と旦那さんに話そうするんだけど、
話そうとするたびにそのシーンを思い出し、嗚咽しそうになって話せないという。

そういえば子どもの頃、現実に取り違えられたニュースを聞いて、恐ろしい、私は大丈夫だろうかと
不安と恐怖を感じたことを思い出しました。

で、今このブログを書くのにサイトの予告を見たら、また少し泣けた。
もう一度見たいような、見たくないような。

「月イチ映画館」、全然遂行できていないけど、次は何を見にいこう。

追記(2018.8.4)
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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。