京都ライター塾の卒業生100人から、私が教えてもらったこと。

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京都ライター塾を始めたとき、受講生には絶対にライターになってもらいたいと思っていた。ライターとして活動するのに必要な「情報」や「知識」は全て手渡すのだから、何としてもライターになってもらいたい。そう期待していた。

私は、自分の好きだった「書くこと」を仕事にできて幸せになれたので、みんなもそうしたらいいのにと心の底から思っていて、なぜ全人類ライターにならないの?とすら考えていた。

なので、卒業生でライターにならない人がいると、落ち込んだ。私の教え方がダメだったんだろうか。どうしたら全員もれなくライターにすることができるだろうか。そう躍起になっていたときもあったけれど、1期生からライターは誕生したし、そのうち卒業生が連載を持ち、各地で活躍するようになってくれたことで、救われた。「私の教え方が悪かったんじゃなかった」と思えるようになった。

同時に、こう思うようになった。私は相手に「ライターになってほしい」と期待して、相手を無理やりライターにならせたくて、コントロールしようとしていたんだな、と。

期待して、期待通りにならなかったら裏切られたと感じる。勝手に期待しているだけなのに、勝手に落ち込むというのを何年か繰り返して、やっと期待を手放せるようになった。

「ライターになったらいいと思うけど、別にならなくてもいいな」

ライターになれるだけのモノを手渡しているのは、もう証明された。その後は、本人次第。私がコントロールできる部分ではない。

そう思えるようになったら、裏切られたと失望することも全くなくなった。今は本当に、ライターになってもならなくてもいいと思っているし、ただただ「幸せになってくれたらいいなぁ」と思っている。

週末に、「卒業生おしゃべりの会」をzoomで開催した。この3月で12期が終わり、京都ライター塾の卒業生は100人以上となった。

卒業生の近況を聞かせてもらっていると、書く仕事をしている人も、していない人もいた。もちろんそれでいいんだけど、でも、あのとき書くことを学んだことが、今の人生や暮らしに、とても生きている、振り返ってみると、あのとき受講したことで人生が変わったと言ってくれた人もいて、それがとてもうれしかった。

「ライターになる」というのは目に見えて分かりやすい結果だけど、話を聞きながら、「書く」という技術は即効性があるものではないんだなとあらためて思った。じわじわと、その人の人生に染み込んでいくものなのかもしれない。それが今やっと分かった気がした。

で、私は受講生から逆に「期待しない」「相手をコントロールしようとしないこと」を教えてもらったなぁと思っている。ここを手放すと、とても気持ちが楽になった。

勝手に期待して、勝手に落ち込むことがなくなったから。

ただ、卒業後も幸せになってくれていたら良いなぁと思う。ライターになって稼ぐとか、在宅勤務で子どもとの時間を大事にしたいとか、幸せのカタチは人それぞれだから、私がそれを直接叶えてあげるのは難しいけれど、その幸せに近づく手段として「書くこと」「編集すること」は、とても有効である。

私はこれからもそれを伝えていきたいなぁと、卒業生とお話ししながら思った。

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。