世界的人気グループBTS(防弾少年団)のメンバー・ジョングクのドキュメンタリー映画「JUNG KOOK: I AM STILL」を観にいってきた。
ジョングクは、7人いるBTSメンバーの中で最年少。見た目の美しさもさることながら、ダンスも歌も完璧にこなすため、ファンの間では黄金マンネ(=なんでも出来る末っ子)といわれている。
私は3年前にBTSにどハマりし、「BTSのように踊ってみたい」と45歳でヒップホップダンスまで習いはじめたほどだけど、BTSはとにかく一糸乱れぬダンスが特に素晴らしく、彼らは全員動く芸術作品だと私は思う。
特にジョングクは声での表現力もすごくて、「ずっと聴いていたい」みたいな気持ちにさせられる。させられるだけではなく、そうせざるを得なくなって、結局グクの歌声を一日聴いて過ごしたこともある(それだけでは飽き足らず、ぜひ聴いてほしいとフェイスブックにも投稿した。ただの危ない人である)。
今回の映画は、ジョングクが初のソロシングルをリリースし、ソロアルバム『GOLDEN』を発売するまでの約8ヶ月を記録したもの。ジョングクがメンバーと離れ、一人で世界各地をまわって歌を披露し、アルバムを制作するその裏側が見れるのである。
なんせ、ジョングクのソロアルバムは発売から3時間で100万枚売れ、5時間で200万枚を突破、ダブルミリオンセラーとなり、その後、米ビルボードチャートではソロ歌手として初の記録を達成したというのだから。そのすごさが分かる。
映画のチケットは大人も子どもも一律2,600円。通常より、ちょっと高い。でもライブに行くことを思えば全然安いし、BTSのライブチケットなんて一生分の運を使っても取れそうにないから、もうこれで全然いい(大画面でグクが歌っている姿が見られるのだから、それでいい)。
ライブシーンも多いらしく「発声OK!」の上映回もあり、今回はたまたまそれを観にいった(が、歌っていたのは一緒に行った娘くらいだった)。
映画はまさに、ジョングクが世界的ポップスターの階段を駆け上がっていく、黄金の期間、その裏側を全て見せてもらったような内容だった。
映画前半にあったグクのレコーディングの裏側のシーン。英語がうまく発音できなかったり、うまく歌えなくて、もどかしい!!と髪を掻き上げる様子や、ライブが控えているのに喉の調子が悪くて不安そうな様子が映し出される。
大勢のファンが期待し、待ち望んでいるライブ。うまく歌うことができるのか、みんなの期待に応えられるのか。
BTSとしては世界に認められたとしても、果たしてソロで、たった一人で活動して人々に認めてもらえるだろうか。
メンバーの魅力とすごさを知っているグクだからこそ、余計に怖いだろうな。すごいプレッシャーだろうな…と想像すると、観ているこちらまで胸がキリキリと痛むようだった。
それでもグクは舞台に立ち、踊り、歌い上げる。逃げだしたくなるような不安と恐怖とプレッシャーを抱えながらも、舞台に立ってくれたからこそ、私たちはそのカッコいい姿が見られるのだなと思ったら、なんかもう心に浮かんできたのは、圧倒的な感謝だった。ただただ、ありがとうの気持ち。
特に、NYのタイムズスクエアでのゲリラライブを敢行したときのグクがとても楽しそうで、胸がいっぱいになって、ちょっと泣いた。すごく自信に満ちていて、かつ、なりたい自分になれているという感じがして良かった。それまでの不安など1ミリも感じさせない完璧なパフォーマンス、圧倒的な存在感。
なんかもうよく分からないけど、もはや母の気持ちで、ひどく安心した。しんどいこともいっぱいあったけど、幸せそうで良かったねと思った(誰)。
全編を通して印象に残ったセリフが、「最初のステージでうまくいった試しがない」「最初からうまくはできない」というものだった。素晴らしい才能を持ち、あれほどの努力をして、かつこれまでにたくさんのステージに立ってきた(ワールドツアーもした)百戦錬磨のグクですら、最初のステージは上手くいかないのかと思って、驚いた。
自分は天才じゃないから、自分の足りないところを見て、さらに努力するんだ、と。あの、なんでも完璧にこなしてしまう黄金マンネが言う。
でもふだんから活動の裏側を見ているアーミー(BTSのファンの名称)としては、グクのことを決して「天才」という一言で片づけてほしくないなと思う。アーミーの期待に応えたい、喜んでもらいたいという一心で彼がどれほどの努力を重ねているか。
映画を観て改めてその圧倒的な努力の姿勢が垣間見えたし、何よりステージに立って生き生きと、のびのびと楽しそうにしているグクを見て、私は10年は寿命が延びたんじゃないかと思うくらいたくさんのエネルギーをもらった。
映画の翌日ウォーキングに行くと、いつもなら1km歩くのに11分50秒くらいの速度だったのに、この日は10分を切る勢いで歩いていた(タイムが微妙すぎて、このすごさが分からないと思うが、私にとっては相当すごい)。グクにエネルギーをもらって、体が軽くなったんだと思う。
グクはこれからマイケルジャクソンのような、というか、マイケルジャクソンを超える世界的なスターになるんだなと確信した。
この映画は、人生が停滞していると感じている人に観てもらいたい。たぶん見終わったあと、体が軽くなって動き出したくなると思う。本当に。
この映画の何がすごいって、タイトルが「I AM STILL」(私はまだです)なんですよ!!!これほどの活躍をして、努力をして、「 I AM STILL」と言ってるグクを見てたら、なんかもう停滞しちゃってとかほざいている場合じゃないなと私はなった。
オンラインサロンのメンバーでライターの市岡光子さんが、この映画のレビューを書いていて、見終わったら読ませてもらおうと思いさっそく読んだら、素晴らしかったので、ぜひ読んでもらいたい。
努力、葛藤、愛。ジョングクの輝きとその裏側を描く「JUNG KOOK: I AM STILL」レビュー
BTSやグクを知らない人にもとても分かりやすい上に、グクの魅力も存分に伝わってくる文章で、読んだあと私がライターと名乗ってスミマセンと思った。
市岡さんも、レビューの中で『20世紀のキング・オブ・ポップといえばマイケル・ジャクソンですが、その称号はもしかするとこれから、JUNG KOOKの手によって引き継がれていくのかもしれません』と書いていたので、「で・す・よ・ね!!!!」と思った。市岡さんとガッツリ握手をしたい気持ち。