飲酒運転ゼロを目指して。山陰中央新報に寄稿した全文。

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妹の命日である12月26日、山陰中央新報の
飲酒運転根絶キャンペーンで寄稿しました。

16年前の私と妹の写真と一緒に。

妹のことに関しては、冷静に書けないので、
新聞社に提出する前に校正を山田ねーさんにお願いしました。

私が書きたいのは、加害者に対する恨みつらみの文章じゃなくて、
読んだ人が一人でも、ハッとなって、
「あぁ、飲酒運転はやめよう」って思ってくれるようなもの。
そう思って気を付けて書いているはずなのに、
どうしても恨みつらみがにじみ出ているようで、
それを、ねーさんの的を得た客観的な意見で、
なんとかボーダーラインぎりぎりには戻せたのではないかと思っています。
いつも、ありがとう。 
以下、掲載してもらった全文です。

————————–

12月という月は。

12月という月は、私にとって慌ただしい師走でもクリスマスでもなんでもなく
ただただ、クリスマスの夜に死んだ妹を思い喪に服したい、そんな月。
街がイルミネーションの輝きを増すとともに、私の気持ちがずんずん沈んでいく月で、
友だちと、仕事相手と、夫と子どもから「今年のクリスマスはどうする?」と、
聞かれるたびに「クリスマスだからといって、どうして何かしないといけないの」
と、ひねくれた気持ちになり、そして、ひねくれた自分が嫌になり落ち込むという
悪循環が繰り返される月。

1999年12月25日、
あの人が、お酒さえ飲まなければ、車さえ運転しなければ
つまりは、飲酒運転さえしなければ、
妹の乗った車と正面衝突することもなかったのに。

あの人は、クリスマスをどのような気持ちで迎えたのだろうか。
家族と過ごしたのだろうか。ケーキのひとつも食べたのだろうか。
私は、クリスマスが来るたびに、
胸が締め付けられるような思いでいっぱいになるのに、
クリスマスムードでいっぱいの街を、
華やかな楽しい気持ちで歩いたりしたのだろうか。
果たして、あの日、お酒を飲んで運転したことを心底、後悔しているのだろうか。

もし、深く反省しているとして。
それが一体なんだというの。
反省したところで、妹が生き返るわけでもないし、
自分本位で取り返しのつかないことをしたという事実に変わりはない。
でも、どうか、妹の命日である今日だけは
妹のために、毎年祈りを捧げてくれていると信じたい。
 
そして、お酒を飲む機会が増えるこの年末年始に
どうぞ飲酒運転をする人がいませんように、と心から願う。

江角悠子

—————————————–

24日に大急ぎで仕事納めをして25日に島根に帰省したのは、
妹の十七回忌の法要に出るためでした。

家族だけでのこぢんまりとした十七回忌も無事に終わり。
当時はもう別れていたのに、妹の元カレも駆けつけてくれて。
16年経ってもまだ妹のことを覚えていてくれる人がいる、
ということが本当にありがたい。
(そして彼が結婚していて、子どももいるということが私はとても嬉しい)
けど、奥様がどのように思っているのかが心配だったりする。

何はともあれ。
とりあえず命日が過ぎて、なんか気が抜けた。
晴れて自由の身という気がする。何に縛られていたのだろう。 

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。