昨年末、島根に帰省した際、いつものように大好きな場所・出西窯ヘ行ってきたのですが、なんと!ベーカリーカフェに続き、Bshop(これまた大好きなお店)がオープンすることを知り、大興奮!
そのときに、こんなブログを書いたのですが、
そこからご縁あって、なんと!出西窯代表の多々納真さんにお会いすることができたのでした!(ブログすごい)
そのときに聞かせていただいた多々納さんのお話がものすごく面白くて、あれから時間は経ってしまったのだけど、印象に残っていることをここにメモ。
出西窯はどこへ行くのか
昨年ベーカリーカフェをオープンさせた次は、2月にBshopのオープン。
窯元であるはずの出西窯はいったいどこへ向かっているのかな?と思ったら、基本は純粋に焼き物の魅力を伝える、次世代に繋げるというところにあったのでした。
Bshopの代表・森さんは、店に食器を置きたいと考えたときにコンセプトである「歴史あるもの」を探しにイギリスへ行ったそう。そこで、伝統的な食器を探していたところ、英国の陶芸家バーナード・リーチの影響を色濃く残している作品はもう英国にはない、出西窯は知っているか?と教えてもらい、そこで初めて出西窯の存在を知ったのだそう。
それが8〜10年前のことで、すぐさま出西窯を訪れた森さんはこの地を気に入って、Bshopでも出西窯の商品が扱われるようになり、以来、足しげく訪れていたのだとか(島根から遠く離れた関西で、出西窯の食器を見つけたときは本当に驚いた。なぜここにあるのか?と)。
その頃から、多々納さんと森さんは親交を深め、ついにBshopのお店がこの2月23日にオープンするとのこと。Bshopが島根にオープンするのに、実に10年もの月日がかかっているなんて、なんか私も感慨深い(何もしてないけど)。
地元である斐川町を、そんな風に魅力ある場所だと思ってもらえたのが、すごく嬉しい。住んでいた頃は、「斐川町には何にもない。早く出ていきたい」とばかり思っていたから。
Bshopが出西窯の敷地内にできたら、よりいっそう大勢の人が来てくれて、出西窯の商品が売れて、そうすれば出西窯は今後も長く残っていくことになる。
この話を聞いて思ったのは、お金儲けとかそんなことでお店をやるのではないんだなぁということ。
そして、伝統文化を次の世代に繋いでいく大変さと、あと、人と人とのご縁はすごいなぁということも強く思う。なんせ、多々納さんと森さんが出会わなければ、このプロジェクトは実現しなかったのだから。斐川町に大好きなBshopができるだなんて、本当に出会ってくれてありがとうという気持ち。
人は誰と出会うかで、人生が変わるのだなぁと思うなど。
ベーカリーショップがオープンしたきっかけ
ベーカリーショップがオープンしたのも、もとはといえば、人と人との出会いだった。
多々納さんがある日、当時鳥取市内にあった「ルコションドール」のパンをお土産としてもらい食べたところ、これがものすごくおいしくて(いやホント、ルコションドールのパンはおいしい)、鳥取まで買いに行くようになったそう。
多々納さんは行くたびに段ボールで大量にパンを買っていたそうだけど、そんな変わった人がいるということで、「ルコションドール」を営む倉益孝行さんにその存在が知られるようになり、2人の交流がスタート。
暮らしの中にある器として、出西窯でこれから何が提案できるかと考えたときに、かつて、しゃぶしゃぶの元祖となる料理を考案した人に、器で立ち行かなくなったときは、自分たちが作った器でしゃぶしゃぶを提供したらいい、レシピは教えると言われたことを思い出したそう。
それを現代に置き換えたのが、ベーカリーカフェ。というわけで、出西窯にベーカリーがオープンし、カフェでは、出西窯のマグカップに珈琲が注がれ、出西窯のプレートにカレーが盛られる(ちなみに、カフェのスタッフさんはみんなBshopに置いてあるDANTONとかの服を着ていて、とても可愛い)。
ベーカリーカフェがオープンしたのはパンがおいしいからとか、カフェができたら人が来るから、そんな単純な理由ではなかったのでした。
Bshopもそうだけど、このベーカリーのオープンも何年越しだったということや、建物を建てるのに億単位の費用を集めたなどなどの話を聞いて、多々納さんは職人さんであると同時に、ものすごいやり手な経営者なのだなぁと感動。
器(出西窯)に食(ル コションドール)が加わって、そして今回新たに衣(Bshop)も追加される。もう充分に魅力的な場所となっているのだけど、果たして次はどんな展開が待っているのかなと、さらに期待したくなる。
「Bshop」は京都にもあっていつでも行けるのだけど、出西窯にある「Bshop」に行きたいと思わせるような、魅力があるのだよなぁ、すでに。
職人さん不足
こんなに人気のある窯元さんであるならば、ここで働きたいと志願する人はひきもきらずいるのかと思いきや、意外にも職人さんの確保には苦労されているとのこと。
志望者は少なく、あったとしても「お給料はいくらですか?お休みはいつですか?残業はありますか?」みたいなことをまず聞く人が多いのだそう。
まず自分に何を提供してもらえるか、が先に気になるというわけ。自分が何を提供できるか、ではなく。
この話を聞いて、私も胸が痛いなぁと思った。仕事を受ける前はギャラが気になるし、スケジュールも知りたいし、自分が何を提供できるかの前に、自分にどんなメリットがあるのかを考えてしまう。
が、もし私が陶芸を志す若者だったら。
出西窯で働きながら、お給料をもらいつつ、陶芸の勉強させてもらえることがありがたいと思うし、職人としてのノウハウを盗めるだけ盗んで、あとは多々納さんの視点や考え方を間近で見て学びたい。それが可能なら、こちらが授業料を払ってもいいくらいの経験ができるんじゃないかと思ったのだけど、この考え方はもう古いのだろーか。
職人さんが住む寮もあるそうだけど、今は使われていないそう。もったいないなぁ。
まとめ
ライターという仕事柄、いろいろな社長さんにインタビューをさせていただく機会があるけれど、大勢の人を巻き込んで大きなことを成し遂げる社長さんというのは、もれなく魅力的な人で、会うとファンになってしまい、勝手に応援したくなる。多々納さんもやっぱりそうだった…!
というわけで、今年も引き続き、いやより一層「出西窯」を応援していきたいなと思います!
多々納さんに「島根に帰ってきたら?移住したら?」と説得され、今まで1ミリも考えたことがなかったけど、美味しいパン屋もあるし、Bshopもできるなら、もしかしたら斐川町に住むのもありかなと思い始めるなど。
出西くらしのvillage
島根県出雲市斐川町出西3368
出西窯 0853-72-0239、ル コションドール出西 0853-27-9123
くらしの陶・無自性館(展示販売所)9:30〜18:00 毎週火休
ル コションドール出西 9:30〜18:00 毎週火、第2・4水休
駐車場あり
島根の旅にオススメの本はこれ!
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