ちょいちょい失敗する「 ちょっとダメなお母さん」くらいがちょうどいい。

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私の母は、完璧な母親だった。

何を持ってして「完璧」というのか分からないけど、子どもの頃の私はそう思っていた。

家事を完璧にこなし、亭主関白の父親を立て、小学校の役員も何かしていたような気がする。人の悪口は言わないし、誰とでもうまく交流する。子どもより遅く寝ているのに、私たちが朝起きるともう起きていて、すでに朝ご飯の用意ができている。いつ寝ているんだろうと子ども心に思っていたし、思い出すと、いつも一人で頑張っていたお母さんだった。

小学生のとき友だちが「お母さんが起こしてくれなかった〜」と遅刻してきたときは、世の中には、そんなダメなお母さんがいるのかとものすごく驚いた。母親が失敗するわけない、我が家では絶対あり得ない。自慢のお母さんだった。

でも、そんな完璧な母親を見ていて、ただ一つ不安なことがあった。

私は、大人になるのが怖かった。

「私はあんな風に何でも完璧にできない、どうしよう」

完璧にできる気がしなから、大人になる資格がない。そもそも、大変そうな大人になんか、なりたくない。ずっと子どものままでいたいと思っていた。

でも、一人目の子を出産すると、いつの間にか私も母のような完璧な母親を目指していた。目指したんだけど、全然できなかった。寝かしつけようとしても全然寝ないし、せっかく離乳食作っても、食べてくれない。ぜんぜん思った通りにならない。

母のようにこなせない。私はダメなお母さんだって落ち込んで、ふと友だちにそんなことを話してみた。その子は、すごく楽しそうに育児をしていてたから。

そうしたら「テキトーでいいんだよ」って言われた。毎日お風呂に入らなくてもいいし、部屋が散らかってても、ほこりが溜まってても死なないでしょう。テキトーでいいんだよ。エズちゃん、すごいよ、そんなこと毎日できるなんて。私なんか全然何にも出来てないよ(笑)

でも、完璧にやろうとして頑張るよりも、子どもの前でお母さんが笑顔でいる方が大事じゃない?って。

…テキトーでいいのか。

シャンプーしたくないと号泣するときは、シャンプーしなくていいのか。ご飯食べないときは、無理に完食させなくていいのか。パジャマを着て保育園に行きたいと泣き叫ぶときは、パジャマを着ていけばいいのか。晴れた日に長靴履きたいと言い張るときは、履かせればいいんだ。

そして思い出したのだった。子どもの頃、完璧な母親を見ていて苦しかったことを。完璧なお母さんじゃない方が、気が楽だよなって。

私は、子どもには「大人になるのが怖い」と思ってもらいたくない。大人は楽しそうだなぁ、いいなぁと思ってもらいたい。だからまぁ、テキトーでいいんだな。たまには失敗するくらいのダメなお母さんで。

というようなことを、昨日ぱぁあぁあ〜と思い出した。

というのも、昨日は朝10時から打ち合わせがあったのだけと、私は日にちを1日勘違いしていて、クライアントさんから「何時に着きますか?」と電話があったとき、思いっきり自宅にいたのだった。

慌てて待ち合わせ場所に向かって、結果30分の遅刻だったのだけど、全国に名をはせる大会社の社長さん、会長さんを30分待たせるという、このなんというか寿命が縮む思いをして、だいぶ落ち込んだ(クライアントさんが「次から、前日にリマインドしますね」と言ってくれて、お願いすることにした)。

落ち込んだけど、でも、もうしてしまった失敗はどうしようもなく。完璧なお母さんじゃない方がいいよねってことを思い出して、自分を慰めていた。仕事と母親業は違うんだろうけど。

息子にこの話をすると、「わ〜、お母さん、絶対に1ランク下がったね!」と言いながら、笑っていた。そうだね、下がったね。これからの仕事ぶりで挽回します。

 

 

 

 

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。