京都ライター塾全12回のうち9回目の講座が終了!本当のゴールについて考える

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前回の京都ライター塾の課題で、受講生には人物インタビューの記事を書くことに取り組んでもらった。

受講生みんな、とてもキレイにまとまったインタビュー原稿を書いてくれていた。これまで伝えてきたことをすごくよく理解してくれているし、実践してくれていると感じてうれしかった。

文章的にはなんら問題はない。

けれど、商業ライターとして書くなら、それだけでは足りない。

私が商業ライターとして原稿を書くときに、まず考えてほしいこととして伝えているのが、記事のゴールを設定することである。

・記事を読んだ読者にどうなってもらいたいのか。
・記事でいちばん伝えたいことは何なのか。

書く前にここが分かっていないと、結局何が言いたかったのかよく分からない記事になってしまう。

いい原稿を書くためにインタビューをするわけなので、インタビューをしているときは、何も友だちのように仲良くならなくてもいいし、話が前後行ったり来たりしてもいいし、何なら一切盛り上がらなくてもいい。

大事なのは良い原稿を書くことであり、現場が盛り上がって終わることではない。

昨日、理系ライターで小説家の寒竹泉美さんが、Xで、対談・座談会原稿を書くコツをレジュメにまとめてくれているのを見た。

その中に、

専門用語などよく分からないことがが出てきたら、流れを止めて質問する。流れよくやることより、良い記事を書くのが仕事。

とあった。

マジそれな!である。

インタビューをしていると、現場でどうしても雰囲気よく会話を進めたいと思ったりする。何なら、相手から好かれたいし、気持ちよく話しているところで会話を遮ったりはしたくない。

が、なぜ対談や座談会をしているかというと、本来の目的は、良い記事を書くためだからである。最悪、現場で対談になっていなくてもいい。一問一答になっていたとしても、最終的に記事の上で対談になっていればいいのである。

むしろ現場で、会話が分かりやすく、時系列に沿って進むはずがない。 

前後バラバラだけど、とにかく何とか集めた素材を元に、ライターが対談に仕上げるのである。

記事を書くときだけではない。物事は、いつでもこの最終ゴールを考えておくことが大事だと私は考えている。

私のライター塾のテーマを、「書いて、しあわせになる」にしているのも、ゴールはライターになることではなくて、幸せになることが大事だと思っているから。

いくらライターになれたとしても、安い案件で消耗したり、興味ないこと、書きたくないことを無理やり頑張って書いたり、きついスケジュールで体調を崩したりしたら、何のためにライターになったのか分からない。

「書く」という技術を使って、しっかり稼いで、自分のために使える自由な時間を持ち、家族との時間もしっかりあって、行きたいところへ行き、やりたいことを全部やる。

つまり、しあわせになることが本当のゴール。

どんな仕事も本当はそうだと思う。稼ぐことがゴールではなく、お金を稼いで、それを何に使いたいか。もし、自分のやりたいことにお金がかからないのなら、そもそもお金を稼ぐ必要はあるのか?

本当のゴールを忘れないことが大事。

さて冒頭の人物インタビューの記事のゴールはいったい何だったのか。

人物インタビューだから、「その人の素晴らしさ」さえ伝えばそれでいいのか?

記事の本当のゴールが分かっていないと、どんなに文章が素晴らしいとしても目的は果たせない。

商業ライターとして文章を書くとき、その記事には必ず意図(商品を買ってほしい、会社に応募してほしい、新店舗に来てほしい等)があるので、その意図は何なのかを考える必要がある。

その意図を汲んだ文章を書かないと、どんなに文章が美しくても、クライアントからオッケーはもらえない。

私がこうしてブログを書いているのは、講座やオンラインサロンに入ってもらいたいからではなく(いや、入ってもらいたいが)、本当のゴールは、「書いて、しあわせになる」人が増えたらいいなと思っているから、なのです…!

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。