京都造形芸術大学であった特別講義「本と本屋さんの未来について」を聞きに行ってきました!

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ノンフィクションライター・近藤雄生さんのこんなツイッターを見て、行ってきました!

text by:江角悠子(@ezu1030

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特別講義「本と本屋さんの未来について」

人の話を聞くときはノートを取らずにはいられなくて、そのノートに書いたメモを自分のために整理してリライト。本当は心の中にとどめておこうと思っていたのに、インプットしたら、アウトプットしないといられないライターの性か。

ホホホ座の山下さんの著書「ガケ書房の頃」を読んでいたので、山下さんが小学生の頃、家の外では一切話さなかったということを知っていたのだけど、この日のトークで、「一切話さなかったことに、不便はなかった」ということを聞いて、とても驚いた。

友達や先生と一切口をきかないことに、何もストレスもなく、話さなくても何の問題もなかったという感覚。すごく興味がある。

装丁家の矢萩多聞さんが、小4のときに1年間不登校になり、その後、14歳からインドで暮らしていたという話も衝撃的で、私は未だ訪れたことがない場所に、子どもの頃から行ってしかも、住んでいたというのがすごい。

14歳でインドに行くのもすごいけれど、子どもを持つようになって思うのが、インドに行くのを許した親がすごいなということ。

もし私の子どもがそんなことを言い出したら、果たして私はどうするだろうか? 矢萩さんのご両親、すごいなぁ。

そして、そんな子ども時代を持つお二人の話を聞いて、ただただ学校に行っていた私、子どもにも、ただただ学校に行っておいてもらいたいという私は、何という狭い世界で生きているのだろうとも思う。世界は広い。

矢萩さんが、何のために絵を描くのかと悩んだときに、インドの絵を描く人に言われて響いた言葉。

「絵を描いているときが、祈りであり、楽しいときなの」

というもの。

描いた絵をその後どうするか?とかではなくて、ただシンプルに、描いているときが楽しいから描く、ということ。

私も「何のために書いてるんだろう」なんてしんどくなったら、この言葉を思い出そうと思う。大抵はしんどかったりするけれど、たまに訪れる、バーっと書きたいことがかける瞬間、その喜びを糧に。

山下さんの言葉。

同じ本を読むのでも、心が弱っていることほど、自分に必要なワードが入ってくる。調子がいいときよりも、悪いときのほうが発見がある。再生するための手段として本がある。

うんうんうん。本当にそうだと思う。悩んだり落ち込んだりしたら、私もひたすら本を読んで答えを探す。心が弱っていることほど、自分に必要なワードが入ってくる、という言葉は、救いだ。

スマホは受け身のメディアであり、本は能動的なものだから、読むのにもエネルギーが必要。今は、昔と違って娯楽がたくさんあるので、動画やスマホなど楽な方を選んでしまいがち。本を読む状況を作ってしまわないとなかなか本を読めない。

なので、山下さんは、本だけを持ってカフェに行くという。これ真似したい。私も今年はもっと本を読みたくて、月に1度はそんな日を持とうと思いつつ、何もできずもう2月も終わり。

現代は、たとえば100年前に書かれた本だって気軽に読むことができる。本を開けば、一瞬にして時空を超えた体験ができる。

「本はタイムマシン」という言葉が本当に素敵だった。

最後に矢萩さんと名刺交換をさせてもらったときに、半生が綴ってあるという著書「偶然の装丁家」、これはぜひとも読んでみたいと思います!と伝えたところ、これはめっちゃ面白いですよ!!!と自分で言った後に「もう、これは自分でそう言っていこうと思って(笑)」と言っていたのが、すごくいいなと思った。著者が自ら「この本は面白い!」と言い切るの。

というわけで、私もガンガン言っていこうと思う。「京都、朝あるき」めっちゃ面白いので、買ってください!って(笑)

あと、そうそう!と激しく頷いたのが、今の書店はサービスしすぎというもの。最近、カフェと本屋が一緒になっているお店が多いけれど、まだ買ってもいない本を、カフェの席に持って行って読めるというサービスが過剰だという意見。

確かに過剰だと私も感じる。

最初にそれをしていいと知ったとき、すごく違和感があったのだ。カフェに行ったときに、購入してもいない本を席に持っていくことに対して、え?持って行ってもいいの?って。買わずに読めることはうれしいけれど、それってなんか違う。

それをこの日言葉にしてもらって、なんとなくあった違和感はこれか!と思って、すごくスッキリした。

山下さんの著書「ガケ書房の頃」を読んで、私の永遠の王子・オザケンと山下さんが交流があったということに知り、山下さんにお会いすると、「最近、お店にオザケンは来ましたか?」と言うこと毎回聞くのですが、最近は来てないそうです。

あと、司会の近藤雄生さんが山下さんの本を読んで、オザケンが登場するくだりで「江角さんを思い出しました」と言われたのが、嬉しかった。「江角=オザケン」ということで間違いない。

というわけで、本当に濃い2時間。これが無料だなんて!また企画してほしいなぁ。楽したった!

ありがとうございました!

 

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。