京都的イケズな表現が好き。

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昨日 Twitter のタイムラインで、こんなつぶやきを見かけました。

なんで、すぐドアを閉めることになったのか、分からない方に説明すると、「寒いなぁ」と店主が感じたのはドアが開いているからで、つまり「今日はえらい寒いですねぇ」というのは、「寒いし、早くドア閉めて?」という意味なのです。

こんなこと言われて私ならきっと「ほんまに寒いですね(ニコ)」と返事をするはずで、嫌味を言われているなんて全く気が付かない。

text by:江角悠子(@ezu1030

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イケズメモ

でも、こういう京都人ぽい表現が私はすごく好きで、そんな例に出合うと心にメモしておきます。今メモしてるのはこんな。

例えば自分に子どもがいて、毎日一生懸命に家でピアノの練習をしていたとします。そして、あるとき近所の人にこう言われます。

「お子さん、ピアノ上手にならはったなぁ」

はい、ここで問題です。
京都では何と答えるのが正解でしょうか?

私ならきっと「ありがとうございます。そうなんです、頑張ってるんですよ、うちの子!」とでも答えてしまうと思いますが、それは間違いです。正解は、

「いつもピアノの音がうるさくて、申し訳ありません」

と謝るのが、正解です。

近所の人にまで、ピアノが上手になったと分かるということは、 その人の家までピアノの音が聞こえているということ。つまり暗に、「うるさいなあ」と言われているのです。

まるで手の込んだ、引っかけ問題のよう! 私は普通に引っかかる! 

遠回しすぎて全くもってその嫌味に私は気が付きませんが、京都人である夫に言わせると、こんなのはすぐに分かるボーナス問題のレベルなのだそう。

あるとき、うちの息子が遅刻ギリギリで学校に行ったことがありました。するといつも交通当番をしているおばさまがこう言ったそうです。

「今日はえらいゆっくり来たんやなあ」

この、「来るのが遅い」とは決して言わない、ゆっくり来たんやなぁという表現! 京都っぽい!! 何というか素晴らしくないですか? この表現力!! 私なら確実にこういます。「あれ今日はだいぶ遅いなー」 。

この京都人的イケズな表現、これは嫌味というか、きっと京都人の優しさなんだなぁと私は受け取っていて、息子も遅いって言われたら腹がたつけど、ゆっくりやなぁって言われたら、てへ(笑)で済むというか。

あるとき、私が実際に近所の方に言われたのが、

「お子さん、いつも元気があっていいね〜」

というもの。私はこのときピアノの例を知っていたので、ハッと気がついて、こう言いました。

「いつも子どもがうるさくして、スミマセン!」

子どもが元気があると伝わっているということは、大きな声ではしゃいだりしているのが、近所の人の家まで聞こえているということ、つまりと「あんたんとこの子、うるさいえ?」ということ。知っててよかった〜!気がついた私エライ!!って思いました。

こうした京都人のイケズ文化の一例として挙げられるのに、「ぶぶ漬け」があります。

誰かの家に遊びに行って「ぶぶ漬けでもどうですか」と言われたら、それは決して食べてはいけない、むしろ早く帰れという意味なのだということになっていますが、今はぶぶ漬けに変わるのが、コーヒーなのかもしれません。

取材終わりでお店の方に、「コーヒーでも飲んできませんか」と言っていただくことが時々あります。

これは親切心で本当にコーヒーでも飲んで行ってくださいと言われている場合もあるかもしれないけれど、嫌味の場合、「私は取材を受けて、コーヒーが飲みたくなるぐらい喉が渇いたし、疲れたし、早く帰ってくれ」という意味があるということを、何かの本を読んで知りました。

これを知ったときの驚き!

私は、よっぽど時間がないとき以外は、ありがたくコーヒーを頂いてきたのですが、あれが長く取材がかかってしまったし疲れたわーという合図だったなんて全く気がつきませんでした。

私はぶぶ漬けを食べてしまっていたのです。

でも京都人はきっとこの嫌味が相手に通じてても通じなくてもいいのかもしれないと私は思っています。通じたらこの人は分かってはるんやなと思われ、通じなかったらこの人はあかんなと思われ。

まあ、ただその境界を試されているというか。密かに嫌味を言うことで溜飲が下がると言うか。

私も早くそんな手の込んだ表現ができるようになりたいのだけど、高等技術すぎて、全然思いつかない。

けど、あとであるときハッと「あれは嫌味だったなぁ!」と気がついて、思わず膝を打つというか、さすがというか、感動しつつ、心にメモしています(笑)私にはどうぞ直球でお願いします。どんな嫌味にも気がつきません。

そんな表現あったんか!というのに出合ったら、どんどん心にメモしていこうと思っています。こんなの言われたよ、というのがあればぜひ教えてください(笑)

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この記事を書いた人

江角悠子

1976年生まれ。京都在住の文筆家・編集者、ときどき大学講師。ブログでは「ふだんの京都」をお伝えするほか、子育てエッセイも。コーヒー・旅・北欧・レトロ建築をこよなく愛す。