6月に始まったZINE制作講座もいよいよ折り返しとなりました。
ZINEの中身となる原稿は書き終え、次は外側を整える「表紙作り」に着手しています。
ふだんから文章を書き慣れている人は、原稿は書けても、この外側作りで戸惑うことが多い。というか、私がそうでした。イラストは描けないし、デザインもできない。
そんなときに役立つのが、ディレクション技術です。
ディレクションとは、ざっくり言うと 「こんなふうにしてほしい!」を言葉で伝える技術のことです。ZINE制作においては、
「どんな雰囲気にしたいのか」
「誰に届けたいのか」
「どんな印象を持ってほしいのか」
…など、自分のイメージを、たとえばイラストレーターさんやデザイナーさんに具体的に伝えることが「ディレクション」となります。
デザインはできなくても、言葉で伝えることで「自分の理想のかたち」を一緒に作ってもらえるというわけです。つまりイラストが全く描けない私が、自分の理想の表紙を作れたのも、この技術があったからです。

今回の講座では、ディレクションはどんなふうに行われているのか、実際にデザイナーさんにも同席してもらい、私がディレクションする様子を見てもらいました。
このディレクション技術は、ZINEづくりだけでなく、イベント企画やチームの仕事でも活かせるから、身につけて損なし。いやむしろ自分の人生を自分でプロデュースするための必須技術だと私は考えています。
私の弟(EZUMi)は、ファッションデザイナーをしており、昨年から「ディレクリエイティブ講座」というのを始めました。ディレクリエイティブとは、ディレクションとクリエイティブを組み合わせた弟の造語。
弟はロンドンにある芸術大学の中でも、著名なデザイナーを数多く輩出しているセントラル・セント・マーチンズを卒業しているのですが、そこで学んだ、日本にはまだない技法を伝えるべく、この塾を始めました。
私も昨年受講して、改めてディレクション技法を学んだのですが、これがもう本当に奥深く、マジ学んで良かったです。この技法が操れるようになると、極端な話、弟のように数千万の予算があるプレゼンを勝ち抜き、JALの制服もデザインできるようになるということです(知らんけど)。
私の講座でも、そのカケラだけでもお伝えできていたらいいなぁと思っています。
受講生からのレポ記事も続々とどいています。ぜひチェックしてみてください〜。
ZINE制作をしていると、「私はどうしたい?」と自分自身に問いかけて、気持ちを確認するシーンが何度もやってきます。きっと、ひとつひとつ真摯に向き合っていれば、自然に「自分軸」も磨かれるはず。そういう意味でZINE作りは、「自分を生きる練習」にもなりそうです。(春野なほさん)
自分の「どうしたいか?」という気持ちを拾って、それを言葉にして人に伝えて、自分の幸せや心地よさをつくるのも立派なディレクション。自分らしく生きている人は、実はこういうとても小さなディレクションをものすごく積み重ねている人なんじゃないかなと思いました。(KAOさん)
講座内での江角さんとデザイナーさんのやりとりは、まさに圧巻。一見ただのおしゃべりに見えて、実は的確な提案と質問でどんどん方向性が定まっていくのが印象的でした。デザイナーさんもすぐに具体的な案を返してくれ、会話がスムーズに進行。わずか数十分で打ち合わせが完了し、「このやりとりが見られただけでも、ZINE講座に参加してよかった!」と思えるほどでした。(yuさん)
趣味で始めたZINE制作ですが、あらゆる場面で役立ちそう。仕事だけではなく、暮らしや人生においても活かせるような、ディレクション技術を身に付けたいです。(すずき・ちえさん)
江角さんの「テキストの編集と、ビジュアルの編集は地続き」という言葉が、やっと腑に落ちました。どちらも、自分の伝えたい思いや感情を、相手にどう届けるかが肝心で、どちらも目指すものは同じだと思いました。(石川えりささん)
さて、そのディレクションをする大前提として必要なのが、デザインの知識よりも「私はこうしたい」という思いを、ちゃんと言葉にして伝える力です。その力は、ZINE制作だけでなく、文章を書くうえでも、仕事や人間関係においても、あらゆる場面で役立ちます。
実際、私が主宰している「京都ライター塾」や「オンラインサロン」でも、この “思いを言葉にする練習” をくり返しやってもらっています。
書くことは、伝えること。
そして、私とつながること。
そう実感できるような場を、これからも作っていきたいなぁと思っています。
京都ライター塾
オンラインサロン「京都くらしの編集室」